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労働・雇用 · 日本語対応

タイでは雇用契約は権利の上限ではなく、下限を下回れない床です

他国のひな形を持ち込む企業がつまずく点はほぼ共通しています。試用期間なら自由に解雇できる、有期契約は満了すれば費用が生じない、退職届を受け取れば案件は終わる——労働者保護法はこの三つをいずれも認めません。他方で従業員側も、法定の下限を知らないまま大幅に低い和解を受け入れてしまうことがあります。当事務所は、紛争前に制度を整え、紛争後に金額を正確に計算することを役割としています。

解雇では二つの問いが別々に判断されます

解雇のコストを決めるのは独立した二つの問いです。第一に法定の事由があったか——あれば法定補償金は不要になります。第二に解雇が不当ではなかったか——補償金を全額支払っていても、理由が恣意的だったり手続を欠いていれば、別途の賠償が命じられ得ます。したがって「支払いは足りている」ことは「勝てる」ことを意味しません。

法定事由には、不誠実な行為、雇主に対する故意の犯罪行為、重大な過失による損害、書面警告後の就業規則の重大な違反、正当な理由のない連続三労働日の欠勤、拘禁刑の宣告などが含まれます。要点は形式です。理由は解雇当日の書面に記載されていなければならず、審理の段階でより有利な理由を追加することは認められません。就業規則違反を理由とする場合は、適法に公布された規則、対象行為を特定した書面警告、そして警告の有効期間内の解雇が揃っている必要があります。

試用期間・有期契約・就業規則

試用期間は労務管理の手段であって、法定の権利を停止させる法的カテゴリーではありません。試用期間中の解雇でも予告または予告手当は必要で、勤続が法定の基準に達していれば補償金も発生します。「試用期間中は補償金なし」と契約に書いても無効であり、むしろ法を任意規定として扱う姿勢と受け取られます。

有期契約が補償金を回避できるのは、業務そのものが法の想定する類型に当たる場合に限られます。期間の定まった特定プロジェクト、季節的業務、または雇主の通常の事業に属さない業務であって、始期と終期が明確、更新なし、期間満了で完了するものです。一般的な職位に十二か月契約を反復更新する運用は継続雇用と評価され、補償金は通算勤続で計算されます。

就業規則の比重は想像以上です。法定人数以上を雇用する使用者は、就業日、休日、懲戒、苦情処理を含む書面の規則を備え、従業員に周知し、実際にそれに従う必要があります。労働事件を防御するときに最も多く見つかる弱点が、公布された規則の範囲を超えた懲戒であり、これは事前に最も安価に直せる箇所です。

労働時間・休暇・社会保険

労働時間、休憩、週休、法定祝日は法律で定められ、残業と休日労働は所定倍率で支払われます。真に管理的職務にある者は残業規制の扱いが異なりますが、肩書きが管理職であることで免除は生まれず、決めるのは実際の職務内容です。時間記録は使用者の唯一の防御手段で、未払残業の争いで記録がないことが使用者に有利に働くことはほとんどありません。

休暇は積み上がります。資格期間経過後の年次有給休暇、一定日数を超えると診断書が必要になる病気休暇、用務休暇、使用者負担部分を含む産前産後休暇、兵役休暇です。未消化の法定年休は雇用終了時に清算払いとなり、和解額の計算で最も見落とされる項目です。

届出と納付の義務も並走します。法定期間内の社会保険加入手続、毎月の控除と納付、個人所得税の源泉徴収と報告、労災補償基金への拠出です。加入が遅れると加算金が生じ、争いの場では他の遵守事項に関する使用者の信用も損ないます。外国人従業員については、労働許可が実際の職位と就業場所と一致していることが必要で、不一致は労働問題に入国管理の問題を重ねます。

よくある質問

Q:従業員が自ら退職した場合も補償金は必要ですか。
A:真意による自主退職であれば補償金義務は生じません。ただし解雇を示唆されて事実上強いられた退職であれば、使用者による雇用終了と評価され義務が復活し得ます。やり取りと書面の記録を残すことが重要です。

Q:労働裁判所での訴訟費用はどれくらいかかりますか。
A:労働事件では裁判所の訴訟費用が不要です。不当解雇の訴えが提起されやすい理由の一つであり、裁判所には和解を促す職責もあるため、多くの事件は初期段階で解決します。

Q:競業避止条項はタイで有効ですか。
A:有効になり得ますが、期間、地域、業務範囲が合理的である必要があります。広すぎる条項は縮小解釈されるか執行されません。秘密保持義務や顧客情報保護の条項と組み合わせた設計のほうが実効性は高くなります。

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